災害援護資金貸付金制度がワカラナイ!

この制度がサッパリわかりません。私なりの独自解釈のブログです。確実なところは、弁護士に御相談ください。

いわゆる「少額償還」が「繰上償還」で対応可能と思えることについて

 報道機関等で報じられている「少額償還」とは、おそらく、年賦又は半年賦とされている償還方法(災害弔慰金法施行令第7条第3項)では、一度に償還する金額が大きすぎることから、分割して「少額」での償還を認めましょうというものではないだろうか?

 例えば、半年賦の償還のところを6分割して少額となった金額を、毎月償還することを「認め」ましょうといった感じでしょうか?

 だとしたら、このケースにおいて少額償還を「認める」という表現で報道がなされているが、「認める」にしても何か法令等で規定されているものがあるのかと思い、ネット上で調べてみるも見当たらない。

 もしかしたら、このケースは、令第7条第4号に定める但書の「いつでも繰上償還をすることができる」の一形態ではないだろうか?もっとも、ここで定めている繰上償還は、一部繰上償還を意味するのか全部繰上償還を意味するのかは不明であるものの、制度の目的を考えれば被災者のためには、どちらでも可とすべきものだと思う(条例施行規則準則第12条関係別紙様式第6号「繰上償還申出書」の内容からして、一部も全部繰上償還も可能であると思われる)。

 一部繰上償還されたとして、その償還された金額の充当順位については、災害弔慰金法や施行令に定めが無いし、また、条例でも定められていない場合は、民法第491条の規定により、合意充当、指定充当、法定充当の順に充当されることになると思われる。

 よって、弁済をする者(貸付を受けた者)が貸付けた者より優先して充当先をして指定することができることになる。つまり、このケースにおいては、合意充当か又は、貸付を受けた者の指定充当により、弁済期がもっとも早く到来する償還金に充当されることになると思う。

 比較事例として、住宅ローンの繰上返済があるけれど、これは貸付実行前に金消契約という「合意」に基づいて、「1回当たりの返済額軽減型」と「期間短縮型」の取扱いをしているものと思われる。

 災害援護資金貸付金については、この辺の取り決めをしないで(もっとも、取り決めをしたところがあるかもしれないが)、貸付を実行したところは、民法の定めに沿って手続き(処理)されることになると思う。

 また、貸付実行後において、貸付を受けた者との合意無しに、返済額軽減型と期間短縮型しか認めないという扱いは、権利の制限とも受け止められ、よろしくないと思われる?

 以上のことから、少額償還は、繰上償還の一形態だと思えてならないし、繰上償還は、令で規定されていることなので、これは、「認める」行為ではなく、「申出」によるものであると思う。

 なお、気になる点としては、2018年3月7日の仙台弁護士会会長声明の中で「少額償還」がふれられているので、他にも法令の解釈がありそうだということです。

 よって、実務にあたっては、事前に弁護士と相談なさることをお勧めします。

(参考 弘文堂 実務解説改正債権法 日本弁護士会連合会編 P310~313)